甘い恋の始め方
「試着はまだ? それとも終わったとか?」

「話しに夢中になってしまってまだなの。理子ちゃん、着てみなさいな」

悠也はデザインブックを覗き込んだ。

「理子に似合いそうだ。短時間でデザインするとはすごいな」

「私を誰だと思っているのよ」

康子は楽しそうに笑った。

「ほら理子ちゃん、悠也が待っているわ」

「あ、あの、まだ後日でいいでしょうか?」

そう言ったのは理由がある。本当は着てみたかったが、精神的に疲れたのか倦怠感に襲われていた。

「顔色が悪いな。大丈夫?」

理子の様子に気づいた悠也は立ち上がらせる。

「少し疲れてしまったみたいで……申し訳ありません。緊張が緩んだみたいです」

「可哀想に。これからは気兼ねなく遊びに来てね」

康子は理子に優しい微笑みを向けてくれた。


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