甘い恋の始め方
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「本当に大丈夫かい? 疲れさせてしまったみたいだ」

康子に見送られて車に乗り込むと、悠也が心配そうに聞いてくる。

「はい。大丈夫です。ごめんなさい。心配かけてしまって」

「いや、心配するのは当然だろう? 実家へはまだ別の日にしようか?」

別の日にしたい気もする。

少し頭がくらくらしていた。

だけど、朝から気を揉んで待っている母を思い出すと、行った方が良いに決まっている。

約束を破ったと、自分のせいで悠也の印象が悪くなったら困る。

「いいえ。行きましょう」

心配させないよう理子はきっぱり言った。

時刻は15時をまわり、到着時間は父親が河川敷ゴルフから自宅に戻っている頃。

「まだ家族について言っていなかったですね」

悠也は理子の履歴書を見て、家族構成は記憶していたが運転しながら軽く頷く。

「土木関係の会社に勤めている父と専業主婦の母、4歳年下の妹、愛美は結婚して実家で同居しています」

「妹さんは結婚していたんだ」

「先を越されました」

理子は苦笑いを浮かべた。


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