甘い恋の始め方
風邪薬をもらい2課へ戻ると、11時をまわっていた。
席に着くと、机の上にある電話が鳴った。ほとんど鳴らない電話を見ると、内線のようだ。
「はい。小石川です」
『久我です』
「ぁ……」
電話をしなければと思っていたのに、忘れてしまっていた。
『もしかして避けてる?』
「ち、違いますっ! 忙しくて……ごめんなさい。電話――」
『良かった。体調は?』
「もう大丈夫です」
『本当に? 声が変だけど?』
「はい」
目の前の加奈がさっきから理子をニヤニヤしながら見ている。悠也からの電話だと分かったのだろう。
加奈は理子と視線が合うと、胸の前で両手をハートにして作ってみせる。
『――理子?』
「あ、はい? ごめんなさい」
会話を聞き逃してしまい聞き返すと、悠也は小さく笑う。
『大丈夫なら、夕食を一緒に食べよう』
「はい」
『また連絡する』
電話が切れた後、咄嗟に「はい」と返事をしてしまったが、身体のことを考えたら今日は止めた方が良かったのではなかったのだろうかと思った。
だが、正直会いたくて仕方ない。
席に着くと、机の上にある電話が鳴った。ほとんど鳴らない電話を見ると、内線のようだ。
「はい。小石川です」
『久我です』
「ぁ……」
電話をしなければと思っていたのに、忘れてしまっていた。
『もしかして避けてる?』
「ち、違いますっ! 忙しくて……ごめんなさい。電話――」
『良かった。体調は?』
「もう大丈夫です」
『本当に? 声が変だけど?』
「はい」
目の前の加奈がさっきから理子をニヤニヤしながら見ている。悠也からの電話だと分かったのだろう。
加奈は理子と視線が合うと、胸の前で両手をハートにして作ってみせる。
『――理子?』
「あ、はい? ごめんなさい」
会話を聞き逃してしまい聞き返すと、悠也は小さく笑う。
『大丈夫なら、夕食を一緒に食べよう』
「はい」
『また連絡する』
電話が切れた後、咄嗟に「はい」と返事をしてしまったが、身体のことを考えたら今日は止めた方が良かったのではなかったのだろうかと思った。
だが、正直会いたくて仕方ない。