甘い恋の始め方
朝食を終えたふたりは理子のマンションへ向かった。着替えてから出社する。

着替える間、悠也は車で待っていてくれていた。

ネイビーブルーのブラウスとグレーのスカートとジャケットに着替えてから、忘れずにドレッサーの引き出しから悠也からもらった婚約指輪をはめる。

婚約したと知らせるのだから、指輪はしていた方が良いだろう。

（落とさないように気をつけないと）

＊＊＊＊＊＊

出社すると課長しかいなかった。

自分の机に向かう前にコーヒーを淹れていた課長の元へ行く。

「おはようございます」

「小石川君！　もう大丈夫なのか？」

「はい。昨日はお騒がせして申し訳ありませんでした」

「い、いや。いいんだ。でも、びっくりしたよ。副社長が恋人だったとは」

話しながら課長の手はコーヒーに砂糖を入れているが、いつも２杯のところ無意識に４杯入れてしまっている。

「課長、入れ過ぎでは？」

「うわぁ、ああ。うっかりした！」

「私がやります」

課長からマグカップを受け取ると、中身をシンクに流す。マグカップの下に溜まった砂糖を水で洗い流してコーヒーを注ぐ。


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