甘い恋の始め方
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数日後、理子は数週間ぶりに加奈とあずさでいつものショットバーで会っていた。
悠也との婚約を知らせると、あずさは驚いたものの「お似合いよ」と言って祝福してくれた。
「で、年下くんの方とは決着がついたのね?」
あずさが小さな三角形に切られたチーズをつまみながら聞いてくる。
「年下くん……彼には彼女がいたの。人から聞いた話なんだけど。私はからかわれていただけってわけ」
(翔が意地悪をしてそう言ったのではないと思う。現にあれから連絡がないし)
理子もチーズをかじってからソルティドッグを飲む。
「三十路前の婚約、将来約束された生活。念願かなったし、理子は誰よりも幸せになったのね。おめでとう。ね、もう一度、乾杯しよう」
あずさが加奈と理子にグラスを持つように身振りをする。
あと1週間でクリスマス・イブ。
クリスマス・イブは理子の誕生日だ。記念すべき三十路へ突入の日。
(あずさの言うとおり、すべてが思うままに進んでいる。でも、無性に切なくなるのはなんなんだろう……)
数日後、理子は数週間ぶりに加奈とあずさでいつものショットバーで会っていた。
悠也との婚約を知らせると、あずさは驚いたものの「お似合いよ」と言って祝福してくれた。
「で、年下くんの方とは決着がついたのね?」
あずさが小さな三角形に切られたチーズをつまみながら聞いてくる。
「年下くん……彼には彼女がいたの。人から聞いた話なんだけど。私はからかわれていただけってわけ」
(翔が意地悪をしてそう言ったのではないと思う。現にあれから連絡がないし)
理子もチーズをかじってからソルティドッグを飲む。
「三十路前の婚約、将来約束された生活。念願かなったし、理子は誰よりも幸せになったのね。おめでとう。ね、もう一度、乾杯しよう」
あずさが加奈と理子にグラスを持つように身振りをする。
あと1週間でクリスマス・イブ。
クリスマス・イブは理子の誕生日だ。記念すべき三十路へ突入の日。
(あずさの言うとおり、すべてが思うままに進んでいる。でも、無性に切なくなるのはなんなんだろう……)