甘い恋の始め方
翌日、WEB1課の設楽とデザインをつめていると、机の上に置いていた理子のスマホが振動した。

画面に表示される番号に覚えはないが、顧客からの電話かと思い、理子は設楽に断り出た。

「もしもし、小石川です」

『篠原です』

「しの……はら様ですか?」

篠原と言う顧客はいない。理子は頭の中でフル回転させ、つながりを探す。

『社長の篠原です』

(あ!)

以前ピザ屋で会った篠原の顔が即座に脳裏に浮かぶ。

「申し訳ありません」

『今時間はありますか?』

「30分後でしたら、打ち合わせが終わります」

『30分後ですか、わかりました。社長室へ来てください』

通話を切ったあと、社長からの電話が信じられなくてスマホを見つめていた。

「小石川さん? 急ぎのようならまた午後に――」

「い、いいえ。大丈夫です」

社長から何の用なのか気になるが、理子は仕事に集中した。


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