甘い恋の始め方
2課の部屋に戻ると、食事に行ってくると課長に伝えて外に出る。
加奈は有給休暇を取っており、ひとりのランチ。今は誰とも話をしたくなく、ひとりがありがたかった。
近くのコーヒーショップでホットココアとホットサンドを注文し、たった今空いた席に座る。
篠原に言われて心の中で誤魔化していた気持ちが開かれてしまった。
(康子さんは結婚してほしいあまり、余命を偽って彼に言った。それを知れば結婚を思い直すかもしれない。あまりにも性急に事が運びすぎている……悠也さんは康子さんを安心させたい一心なのだろう)
「あ!」
今日はウエディングドレスのデザインを見に行く日だったのを思い出し、思わず声が漏れた。
(こんな気持ちで行けない……)
夕方、仕事の手を止めてスマホから悠也へメールを送る。内容は仕事が終わらず、今日は行けそうもないと謝りのメール。
すぐに返事が戻ってきたメールは「わかった。後日にしよう。手伝おうか?」だった。
(手伝おうかって……自分の仕事と彼の仕事では畑違いなのに)
メールを見て力なく笑ってしまった。
『いいえ。デザインなので、ひとりで大丈夫です』と返信し、スマホをバッグの中へしまった。
加奈は有給休暇を取っており、ひとりのランチ。今は誰とも話をしたくなく、ひとりがありがたかった。
近くのコーヒーショップでホットココアとホットサンドを注文し、たった今空いた席に座る。
篠原に言われて心の中で誤魔化していた気持ちが開かれてしまった。
(康子さんは結婚してほしいあまり、余命を偽って彼に言った。それを知れば結婚を思い直すかもしれない。あまりにも性急に事が運びすぎている……悠也さんは康子さんを安心させたい一心なのだろう)
「あ!」
今日はウエディングドレスのデザインを見に行く日だったのを思い出し、思わず声が漏れた。
(こんな気持ちで行けない……)
夕方、仕事の手を止めてスマホから悠也へメールを送る。内容は仕事が終わらず、今日は行けそうもないと謝りのメール。
すぐに返事が戻ってきたメールは「わかった。後日にしよう。手伝おうか?」だった。
(手伝おうかって……自分の仕事と彼の仕事では畑違いなのに)
メールを見て力なく笑ってしまった。
『いいえ。デザインなので、ひとりで大丈夫です』と返信し、スマホをバッグの中へしまった。