甘い恋の始め方
誕生日の日に失恋が決定するかもしれない。でも、それは自分のせい。大人な女ならここは勇気を出して出るべき。

理子はスマホの通話をタッチした。

「もしもし……」

(私、落ち着いて出られているわよね?)

『理子、今どこに? 旅行から戻ってきた?』

少し心配そうな悠也の声に、凍えるほどさびしかった理子の心はじんわり和らぐ。

『理子?』

「え? あ、自宅です」

『わかった』

それだけ言うと、電話が切れた。

(わかったって……ただの確認の電話?)

理子はがっかりと肩を落とす。「会いたい。今から行く」と言ってほしかったのだ。

「もうっ! ケーキでやけ食いしてやるっ!」

理子はバッグを持って外に出た。

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