甘い恋の始め方
思いがけない誘い
「あずさ、飲みにでもいく?」
今日は金曜日。一昔前なら花金(花の金曜日)。
「そうしたいところなんだけどね、社に戻って報告しなきゃならないのよ。またゆっくり飲もうよ」
「そっか。大変だね。じゃ、大人しく帰るね」
「うん。気をつけて~」
理子はイスの背に置いておいたバッグを持つと、アシスタントスタッフの女性に会釈して部屋を出た。
店を出てエレベーターを呼ぶ。
乗り込んでドアが閉まろうとしたとき、誰かがひとり乗り込んできた。
理子ははじによって俯き、誰が入って来たのか気にも留めなかった。
そこへ……。
「なぜ君みたいな人が婚活パーティーに参加したのでしょう」
エレベーターに乗っているのはふたりだけ。
その言葉は理子に向かって発せられたものらしい。
顔を上げると、悠也だった。
「それは私も同じ質問をしたいくらいです。そのルックスからしておモテになるはずなのに」
「理子さんは俺の名を書いてくれたんですね?」
含み笑いをする悠也の視線が理子の胸元に向けられた。
「取らないんですか?」
「あ!」
理子はまだネームプレートをかけたままだった。
今日は金曜日。一昔前なら花金(花の金曜日)。
「そうしたいところなんだけどね、社に戻って報告しなきゃならないのよ。またゆっくり飲もうよ」
「そっか。大変だね。じゃ、大人しく帰るね」
「うん。気をつけて~」
理子はイスの背に置いておいたバッグを持つと、アシスタントスタッフの女性に会釈して部屋を出た。
店を出てエレベーターを呼ぶ。
乗り込んでドアが閉まろうとしたとき、誰かがひとり乗り込んできた。
理子ははじによって俯き、誰が入って来たのか気にも留めなかった。
そこへ……。
「なぜ君みたいな人が婚活パーティーに参加したのでしょう」
エレベーターに乗っているのはふたりだけ。
その言葉は理子に向かって発せられたものらしい。
顔を上げると、悠也だった。
「それは私も同じ質問をしたいくらいです。そのルックスからしておモテになるはずなのに」
「理子さんは俺の名を書いてくれたんですね?」
含み笑いをする悠也の視線が理子の胸元に向けられた。
「取らないんですか?」
「あ!」
理子はまだネームプレートをかけたままだった。