甘い恋の始め方
こんな時間にホテルを出て行くのは恥ずかしくて、エントランスで待つタクシーには乗らずに、理子は大通りに向かった。
真夜中の3時。大通りを走る車もまばらだ。
歩くヒールの音だけが、辺りに響いている気がする。
理子の口から自然とため息が漏れる。
(こら、理子! 受け身の女にならないって決めたのにっ)
電話がかかってくるのを期待してしまう自分がいた。
電話番号をお互い交換したのではない。
一方的に理子だけが教えた。それがどんな意味をなすのか……悠也がかけたくなかったら、もう二度と合わないことになる。
そう考えると憂鬱になり、重いため息をついてしまう。
その時、肩から掛けたバッグが振動していることに気づく。
(えっ? こんな時間に誰?)
理子は不景気で列をなすタクシーの少し手前で立ち止まり、バッグの中からスマホを取り出す。
見知らぬ番号だった。
(出てもいいものだろうか……酔っぱらいが間違えてかけているのかも……)
しかし着信はなかなか切れない。
理子は思い切って電話に出た。
真夜中の3時。大通りを走る車もまばらだ。
歩くヒールの音だけが、辺りに響いている気がする。
理子の口から自然とため息が漏れる。
(こら、理子! 受け身の女にならないって決めたのにっ)
電話がかかってくるのを期待してしまう自分がいた。
電話番号をお互い交換したのではない。
一方的に理子だけが教えた。それがどんな意味をなすのか……悠也がかけたくなかったら、もう二度と合わないことになる。
そう考えると憂鬱になり、重いため息をついてしまう。
その時、肩から掛けたバッグが振動していることに気づく。
(えっ? こんな時間に誰?)
理子は不景気で列をなすタクシーの少し手前で立ち止まり、バッグの中からスマホを取り出す。
見知らぬ番号だった。
(出てもいいものだろうか……酔っぱらいが間違えてかけているのかも……)
しかし着信はなかなか切れない。
理子は思い切って電話に出た。