甘い恋の始め方
雲一つない秋晴れの空。
まだ暖かくてカフェの庭でゆっくりするのもいいなと考えながら歩く理子の顔は自然とほころんでいた。
カフェで小説を読みながら、サンドウィッチを食べる。
のんびりしようと入ったおしゃれなカフェだが、読みかけの恋愛小説が進まない。
文字が頭に入らず、何回も読み返す。
それを何度か繰り返すと、自分の頭を占めているのは悠也だと悟り、読書をあきらめた。
悠也から連絡がくるのはいつだろう……と、気になってしまう。
(受け身の女にはならないって決めたのにっ! 男と女は駆け引きが大事よ。一度寝たからって、次に会った時は簡単に寝ないんだから)
まだ半分残っているミルクティを飲み干してから立ち上がると、人にぶつかりそうになった。
「すみません……」
相手を見ないまますぐに理子は謝る。
「いいえ。こちらこそ……理子さんじゃないですか?」
「あっ! ミューズの――」
ミューズと言うのは翔がヘアデザイナーとして働いていたヘアサロンで、ぶつかりそうになった彼はあの頃ミューズに入ったばかりだった。
翔はその彼を浩太(こうた)と呼んで、面倒を見ていたのを理子は思い出した。
まだ暖かくてカフェの庭でゆっくりするのもいいなと考えながら歩く理子の顔は自然とほころんでいた。
カフェで小説を読みながら、サンドウィッチを食べる。
のんびりしようと入ったおしゃれなカフェだが、読みかけの恋愛小説が進まない。
文字が頭に入らず、何回も読み返す。
それを何度か繰り返すと、自分の頭を占めているのは悠也だと悟り、読書をあきらめた。
悠也から連絡がくるのはいつだろう……と、気になってしまう。
(受け身の女にはならないって決めたのにっ! 男と女は駆け引きが大事よ。一度寝たからって、次に会った時は簡単に寝ないんだから)
まだ半分残っているミルクティを飲み干してから立ち上がると、人にぶつかりそうになった。
「すみません……」
相手を見ないまますぐに理子は謝る。
「いいえ。こちらこそ……理子さんじゃないですか?」
「あっ! ミューズの――」
ミューズと言うのは翔がヘアデザイナーとして働いていたヘアサロンで、ぶつかりそうになった彼はあの頃ミューズに入ったばかりだった。
翔はその彼を浩太(こうた)と呼んで、面倒を見ていたのを理子は思い出した。