甘い恋の始め方
「理子、ランチどこへ行きたいか考えておいてね」

それだけ言うと、加奈は自分の席に戻っていった。

(私の声が不自然だったのか、加奈はなにかを感じたんだろうな。うー、ランチで聞かれそう……)

******

ランチ場所に決めたのは多国籍料理を出すお店。

昼でも店内は薄暗いので、周りの人の目を気にせず話せる。

婚活に応援してくれている加奈だから、だいたいのことは話さないといけないのかな。と考えた。

(ランチの時間は私の告白タイムになりそう)

タイ料理である鶏肉をバジルとナンプラーで炒めたガパオのランチメニューにし、飲み物はコーヒーにすると、加奈も同じものを頼む。

店員が行ってしまうと、一口水を飲み口を開く加奈。

「さあ、婚活パーティーってどんなんだったか教えてよ」

理子は平静を装いグラスに手を伸ばした。いや、話す前に水に手を伸ばすところがもう平静じゃない。

「人数は男女6人だったわ」

「6人かぁ。ちょっと物足りないかな」

「それがね? 1人だけイケメンがいたの」

「婚活パーティーにイケメン!?」

< 59 / 257 >

この作品をシェア

pagetop