甘い恋の始め方
「理子、そんなクールなフリをしても私にはわかってるわよ。内心、困っているんでしょう?」

「えっ?」

「だって、そうやって無関心を装う時に限って、問題抱えているじゃない?」

(さすが入社以来の友人)

「でさ、副社長って理子が同じ会社で働いているって知らないんじゃない?」

「加奈、どうしてわかるの?」

「だって、同じ会社の女性は恋人にしないらしいし。一線を引いているって。あれ? でもどうして副社長が婚活パーティーに参加するのかしら?」

「私が働いているってことは知らないわ。私も過去のことがあるから、その時は知られたくなくて言わなかったの。どこに勤めているっていう話題も出なかったし」

2年前に婚約解消したのは7階フロアの者ならほとんど知っている。

なぜか浮気されて振られたと噂が飛んだのだ。

「そんな話題が出る前に寝たんだ」

「っ! 加奈っ!」

「だって理子が言ったんじゃない。どうだった? 前の男と違う魅力があった?」

(まったく、ランチでする会話じゃないよね)

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