甘い恋の始め方
「どうぞ」

「ありがとう」

悠也はなにも入れずにそのまま口に運ぶ。

その姿を見て、理子は聞きたかったことを、勇気を出して言ってみる。

「あの……私を誘った理由を教えてくださいますか?」

「もっと君を知りたいからです」

(私を知りたい?)

「でも、もう……知りたくなくなったんじゃないですか?」

ホテルに誘われなくて、自信がなくなっている。

簡単に寝ないと決めていたのに、誘われないと不安になる。

「どうしてそう思うんですか?」

悠也の切れ長の目で見つめられ本心を読まれてしまいそうだ。

追及する瞳から理子はそっと視線をそらす。

「……そうでしたか」

「えっ?」

「君は俺とセックスしたかったんですね」

本当のことをストレートに言われてギクッと肩が揺れる。

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