甘い恋の始め方
駅の方向へ歩きながら、スマホに電源を入れてみる。

しかしうんともすんとも言わない。

黒い画面のまま。

理子の口から重いため息が漏れる。

(どうしよう……悠也の番号がわからなくなっちゃった……)

もう携帯電話会社の営業時間は終わっている。

明日の昼休みに行くしかない。

(復元できるかな……)

出来なければ悠也からかかってくるまで待たなければならない。

こうなってしまったのは浩太だけのせいではないと反省もする。

テーブルにスマホを置いておかなければ、こんなことにならなかったはずだ。

落ち込んだ理子は代官山の駅に着くと、コンビニに寄ってチューハイを数本とおつまみを買った。

(私って完全なひもの女みたい)


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