甘い恋の始め方
それから2時間ほどして、悠也から電話が入った。

今夜、悠也は予定があり会えるのは明日になった。

用事があるのでは仕方がない。

がっかりと俯いた瞳に今日の服装が目に入る。

ティアードタイプのスカートは女らしく細かい千鳥格子柄で、トップスはオフホワイトの薄手のニットを選んだ。

どこのレストランでも恥ずかしくないようにジャケットも着てきたのだ。

今日会えると思って念入りにおしゃれしてきたのが無駄になってしまった。

でも、さっき後姿を見られたのだから、会わない方が念のため良いのかもしれない。

今日おしゃれしてきたのは悠也のため。

そして、最近はもしもばったり悠也に会ってしまうことを考えて、華美にならない程度におしゃれをしていた。

パンツスタイルが多かった理子に課長は「最近、スカートばかりだね。男でもできたのか?」なんてからかわれる。

すかさず加奈が「もちろん理子には男の1人や2人いますよ~」と援護射撃を撃ってくれるのだ。

理子自身はそう言う話題を上司とするのは面倒で、もっぱら加奈に任せている。

(今日は顔パックしてお肌を整えよう)

昨日入ってきた仕事を切りのいいところまでやっていると、帰り支度の済ませた加奈がやってきた。

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