甘い恋の始め方
「あ、あのすぐ着替えますから、外で待っていてくださいっ、ごめんなさい!」

「わかりました。車で待ってます。急がなくていいですから」

理子の慌てた様子に悠也は楽しそうな笑みを浮かべて、ドアがパタッと閉まる。

(あーなんで着替えておかなかったんだろう! バカ理子!)

3回目にしてみっともない素の自分をみせてしまい後悔先に立たず。

理子が支度を終えて、悠也の待つ車に行ったのはそれから30分後のことだった。

マンション前の道路に駐車してあったレクサスから理子の姿が見えたのか、悠也が下りてきた。

「お待たせしてごめんなさい」

「連絡をしなかった俺が悪かったんです。さあ、どうぞ」

悠也は助手席のドアを開けて理子に座るよう促す。

理子が座ると、悠也はドアを閉め車の前を回って運転席に座る。

「どこへ行きたいですか?」

さっきはじっくり見れなかったが、今日の悠也も素敵だ。

スーツ姿しか見たことがないが、カジュアルな服装も似合う。

スーツじゃない方が久我副社長としての悠也を意識しないで済みそうだ。

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