ウェディング・チャイム
 やっぱり子どもであっても『女』は強い、と感心してしまうこともしばしば。

「そうそう。あとでちゃんと『ご趣味は?』って聞くんだよ!」

「……わかったよ。参観日終わったら聞いてみるね」


 始業式から数えて三日間……教員の間ではこの期間を『黄金の三日間』と呼んでいるけれど、この三日でクラスのルールをきちんと作り、子ども達から信頼を得られるように頑張ると、その後のクラス運営がスムーズに進むそうだ。

 甲賀先生から借りた『黄金の三日間で充実した学級運営を行うコツ』という本のおかげで、半月経過した今も何とか崩壊させずに頑張っている。

 ただ、どうしても当番活動や係活動などがうまく進まない時もあり、子ども達三十人を私ひとりで指導することの難しさを感じていた。

 それでも、慕ってくれる子どもは本当に可愛い。

 ちょっと冷めた感じの子どもが増えてくる六年生だけれど、みんな優しくてどの子もぐんぐん伸びようとしているその姿が眩しい。


 四月の第三日曜日である今日は、毎年恒例の日曜参観日。

 参観授業は初めてではないけれど、やっぱり普段の授業より緊張する。

 日曜日なので、お母さんだけではなく、お父さんやおじいちゃん・おばあちゃんも多く、教室の後ろはびっしりと人が並んでいた。

 何度かチョークを床に落とすほど緊張している私に、子ども達から

「先生、いつも通りでいいんだって!」

 という、激励の言葉が飛んできて、子ども達も保護者も爆笑。

 ……どっちが子どもかわからないじゃないの、これじゃあ!

 でも、おかげで授業の後半は少しリラックスできたので、スムーズに進めることができた。
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