ウェディング・チャイム
 
……結局、彼女たちの恋バナに付き合い、何とかなだめた頃にはもう、一時を過ぎてしまった。

 とりあえず全部吐き出させて、泣いてスッキリさせてから部屋へ帰ったら、あっさりと眠れるはず。

 そう思ってひたすら悲劇のヒロイン二人の話をじっくり聞いた結果……。

 稜君に告白もしないまま女子三人で揉めても仕方がないから、今まで通りの関係を続けていこう、という方向でまとまった。

 これにて一件落着、と思いきや……。


「何で恋愛ってうまくいかないんだろう。大人になったらちょっとはうまくいく? 先生は今、彼氏いるの?」


 里香ちゃんが質問してきた。こっちに話を振るのはやめてほしかったんだけど仕方がない。


「いないよ」


 今、どころか今まで浮いた話がないっていう残念な状況であることは内緒。


「じゃあ、好きな人はいるの?」


 今度は紗絵ちゃんが質問する番だったらしい。

 さっきまで泣いていた赤い目のまま、ちょっと微笑みながら首をかしげる仕草が可愛い。


「いるよ。でも、なかなかうまくいかなくて。大人だって悩むんだよ。だいたい私って女子力低いからね~」


 ははは、と笑いながらつい正直に答えてしまった。

 大事なことだから二回繰り返すけど深夜テンション恐るべし!


「そんなことないよ! 確かに今の先生はジャージにほとんどすっぴんだけど、まさか好きな人の前でそんな恰好しないでしょ?」

「うんうん、参観日のスーツ姿とか、ちゃんとしてたよね。きちんとメイクして可愛いお洋服着たら絶対大丈夫だよ~」


 ……実はついさっきまで、好きな人の前でずっとこの格好だったんだけど。

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