ウェディング・チャイム
1月の行事予定
~スキー合宿でしごかれています~
「ぎゃーーーーっ! 下がってるーーーーっ!」
「えっ? うわ、待て! 掴まれ!」
「無理無理無理無理!」
「じゃあ一度尻もちついて止まって!」
リフトに乗るどころか、乗り場までのほんのわずかな坂道すら、まともに進めない私。
だってここの雪、さらっさらでものすごく滑るんだもの!
基本的なカニさん歩きで坂を上ったはずが、なぜかバックしてしまって開脚したまま尻もちという情けない格好に。
出来たてほやほやの彼・甲賀先生にこんなみっともない姿を晒すなんて情けない。
甲賀先生は小さい頃からスキーに親しんでいる小樽市民。ウェアもスタイルもフォームもカッコいい。
一方の私はスキーが初めてというド素人。今日の目標は、初心者コースのてっぺんから下まで、ボーゲンで滑り降りること、なんだけど。
とりあえず乗り場まで何とかたどり着くことに成功。これだけで疲れた。
リフトのあの頼りなさそうな椅子に座り、しっかり掴まって上っていく、らしい。
甲賀先生が先に乗ってお手本を見せてくれたので、係員さんの指示に従って私もやってみる。
ぐいいいん、と体が持ち上がり、そのままスキー板をつけた足をぶらぶらさせた格好で雪山を上っていく。
甲賀先生が振り返って、大声で呼びかけてくれた。
「美紅、大丈夫か~?」
「はい~、何とか~。でもこれ、どうやって降りるんですか~?」
「両足をついて尻と手を離せばいい。行ってみたらわかる~」
「えええ~? どのタイミングでどうやるんですか~?」
……結局、頂上で待ち構えてくれた甲賀先生めがけて、転びながら降りましたけど。
「ボーゲンは、スキー板をハの字の形にしてスピードをゆるめながら降りる。慣れてきたら両足を揃えて少しずつスピードをつける。じゃあ、やってみるぞ」
「はいっ!」
私の目の前で滑っている甲賀先生は、本当にゆっくり、余裕たっぷりといった様子で滑っている。
なのに私は、まるで生まれたての小鹿ちゃんのように、足腰をガタガタさせながら必死に後を追う。
そう、スキーはスケートとは逆のスポーツなのです。
スケートはほっとくと全く進まない。足は逆ハの字にして、体重を乗せて自分から滑りにいく。
スキーは自分の意思とは関係なく進んでしまう。もう、どうにもとまらない。
「ぎゃああああーーー! 止まりませんーーーー!」
「おわっ!!」
甲賀先生の背中に突っ込んでしまった。本日二回目の下敷きになった甲賀先生は、それでも
「ケガがなくて良かった」と笑ってくれた。
私も、ケガをさせなくて本当に良かったです……。