ウェディング・チャイム
5月の行事予定

~お茶もお菓子も遠慮させてください(涙)~

  
~お茶もお菓子も遠慮させてください(泣)~


 ト、トイレーっ!!

 急いで上靴に履き替えて、目指すは職員トイレ。

 途中で学校へ立ち寄る時間がなくて、トイレ休憩なしで五軒訪問したのがいけなかった。

 でも、さすがに『トイレ貸してください』なんて言えないもの。

 ようやくスッキリした私は、職員室へ戻った。


 管理職の机の前を通り、無事に戻ったことを報告。

「只今戻りました!」

「お疲れ様でした。何か変わったことはありませんでしたか?」

 そう言われてちょっと考える。

 管理職へ報告しなくてはならないほど重要なことは……今のところなかった。

「特に目立ったことはありませんでした」

「そうですか。初めての家庭訪問、結構疲れたでしょう? 休憩取ってくださいね」

 教頭先生からねぎらいの言葉をかけてもらって、ほっとひと安心。

 外勤簿に記入してから自分の机に戻ると、隣の席の甲賀先生は既にコーヒータイム。

「お疲れ! 血相変えて学校に飛び込んで来たのが見えたけど、何かあったか?」

 この学校は職員室の窓から、職員駐車場とグラウンドが見えるんだった。

 恥ずかしいけれど、余計な心配をかけたくないので、正直に答えることにした。

「いえ、ただトイレに行きたいのを我慢してただけです……」

「あはは、そうか。どうせ出されたお茶、律儀に全部飲んだんだろ?」
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