ウェディング・チャイム
小学校の中では難しいと言われている高学年の学年主任として、いつもてきぱきと仕事をこなしている。
ただでさえ大変なポジションだというのに、今の甲賀先生はさらに波乱含みの学年経営を任されてしまった。
なぜなら、すったもんだの末に、同じ学年のパートナーが担任未経験の私に決定したのだから!
「お、これこれ! この『新年度の地層』の一番下に埋まってたか、やっぱり」
どうやら、やっと年間行事予定表(仮)が発掘されたらしい。
嬉しそうな声をあげて、甲賀先生がプリントを確認していると、向かい側に座る五学年主任の八木先生が声をかけてきた。
「新年度なんだし、平地に戻すチャンスですよ。藤田先生が雪崩の被害に遭う前に何とかしてあげてくださいな」
「え~、まだまだこれ、天狗山レベルですよ。大雪山レベルになったら考えます」
「私には富士山レベルに見えますよ。ねえ、藤田先生?」
同性のベテラン、八木先生から同意を求められたけれど、どちらの味方にもなれず、曖昧に笑うことしかできない。
こんな時に限って、五年二組担任の渋谷先生は、席を外しているなんて。
「確かに凄い山ですけれど、甲賀先生はお忙しかったから仕方がないですよね」
「さすが藤田ちゃん! よく理解してくれてるな。そうなんだよ、俺だって好きで『山』作ってる訳じゃないさ。もうちょっと仕事が落ち着いたら石狩平野に戻すから、それまで待っててくれるよな?」
「もちろんです。でも、八木先生の『雪崩注意報』が『警報』になる前にお願いしますね」
八木先生に向けて笑いながら言うと、そちらでも頷いているのが見えた。
ただでさえ大変なポジションだというのに、今の甲賀先生はさらに波乱含みの学年経営を任されてしまった。
なぜなら、すったもんだの末に、同じ学年のパートナーが担任未経験の私に決定したのだから!
「お、これこれ! この『新年度の地層』の一番下に埋まってたか、やっぱり」
どうやら、やっと年間行事予定表(仮)が発掘されたらしい。
嬉しそうな声をあげて、甲賀先生がプリントを確認していると、向かい側に座る五学年主任の八木先生が声をかけてきた。
「新年度なんだし、平地に戻すチャンスですよ。藤田先生が雪崩の被害に遭う前に何とかしてあげてくださいな」
「え~、まだまだこれ、天狗山レベルですよ。大雪山レベルになったら考えます」
「私には富士山レベルに見えますよ。ねえ、藤田先生?」
同性のベテラン、八木先生から同意を求められたけれど、どちらの味方にもなれず、曖昧に笑うことしかできない。
こんな時に限って、五年二組担任の渋谷先生は、席を外しているなんて。
「確かに凄い山ですけれど、甲賀先生はお忙しかったから仕方がないですよね」
「さすが藤田ちゃん! よく理解してくれてるな。そうなんだよ、俺だって好きで『山』作ってる訳じゃないさ。もうちょっと仕事が落ち着いたら石狩平野に戻すから、それまで待っててくれるよな?」
「もちろんです。でも、八木先生の『雪崩注意報』が『警報』になる前にお願いしますね」
八木先生に向けて笑いながら言うと、そちらでも頷いているのが見えた。