ウェディング・チャイム
色々って……きっと私が何度も甲賀先生の仕事を中断させてしまったり、余計な仕事を増やしたせいだ……。
「すみません。私のせい、ですよね……」
『そんなことはないよ。俺、所見の神様が降臨してこないとどうしても書く気になれないんだよな。今回はなかなか降りてこなくてさ。降臨中の今夜、徹夜で頑張るさ。途中で寝たらいろんな意味で死ぬけどな、お互いに』
……そんな風に言ってくれたけれど、私の仕事が遅くて、迷惑をかけてしまったことは確実だった。
そして、うっかり寝たらある意味で死ぬ目に遭うのも、私のせいだ。
正直なところ、もう疲れて眠たくなっている。
今日は五・六時間目がプール授業だったこともあり、身体はくたくた、それはきっと一緒にプール授業をした甲賀先生も一緒のはず。
そうだ!
「それじゃあ、寝たら死ぬぞ~って、後で私から電話しますよ。その方が、私も気合い入れて仕事できますから!」
『ははは、冬山登山かよ。でも、そうしてくれたらありがたいな』
「それじゃあ、いつかけるかわかりませんから、ちゃんと起きて待っていてくださいね」
『了解。寝るなよ。寝たら死ぬぞ!』
「もちろんです! 甲賀先生も寝ないでください!」
『……ひとつ忘れてるぞ。学校から離れたら先生っていうのは使わないこと』
「そうでした……甲賀さん、では後ほど」
『頑張れ、藤田ちゃん。電話、待ってるから』
甲賀先生との会話が終わり、耳に残った頑張れの声に励まされるように、所見を打ち込んだ。
甲賀先生も今頃頑張っているんだろうな、と思ったら、何だか嬉しくなる。