ウェディング・チャイム
~一学期、お疲れ様会!~
「一学期、お疲れ様でした! 乾杯!!」
みんなでビールグラスを掲げて、喉に染みる炭酸と一仕事終えた解放感を味わう。
グラスを置いて、盛大に拍手。長いようであっという間だった一学期も今日で終わり、明日からは夏休み。
評価事務と大掃除を終えて、やっとひと段落したところで、恒例の飲み会となるのだけれど……。
「はい、藤田先生。お疲れ様。今日は飲むよ~! ストレス発散しましょうね!」
「あ、ありがとうございます~。教頭先生も飲んでくださいね~。あ、校長先生はビールより日本酒でしたよね? 少しお待ちください」
「藤田先生は気が利くね~。ありがとう!」
……うちの職場は、飲み会の座席がくじで決まる。
今回私が引いたくじは、校長先生と教頭先生に挟まれて、向かいにはベテラン事務官がどっしりと座っているという、普段の職員室より数十倍緊張する席だった。
とりあえず校長先生の日本酒を取りに、宴会場の隅にあるカウンターへ移動する。
するとちょうどそこへ、五年生の渋谷先生もやってきた。
「藤田先生、二次会は行くよね?」
「えっと……多分行くと思いますけれど、体調と相談して決めますね」
「そっか。じゃあ、校長先生から飲まされ過ぎないように気を付けて。あと、柏原事務官はめっちゃ酒の強い人だから、そっちにどんどん注いでおくといいよ」
「わかりました。ありがとうございます!」
「じゃあ、つぶされないように頑張れ」
「……が、頑張りますっ」
渋谷先生からのアドバイス通り、なるべく自分には注がれないように、何とかうまく切り抜けようと思った。
ところが、校長先生のところには、他の先生方もたくさん注ぎに来るので、私が注ぐ隙がない。
かえって私にまでみんなが注いでくれるという予想外の結果になり、思いっきり酔っぱらってしまった。