ウェディング・チャイム
そして翌日の朝。
今日はほぼ一日中プール当番ということで、ジャージの中は既に水着着用。
メイクもできない、日焼け止めも塗れない中で一日勤務という学校プールの規則に従うため、実は夏休み中の業務の中で、一番憂鬱なのはこれだったりする。
普段からナチュラルメイク……という名の手抜きメイクだから、すっぴんでもほとんど変わらないけれど、日焼けはしたくない、という私の願いが通じたのだろうか。
朝から雨模様で、強烈な紫外線は避けられた。ただし、こういう外で遊べない日のプールは混み合う……。
職員室へ入ると、既に甲賀先生は準備万端のようだった。
「おはようございます」
「おはよう。早速だけど藤田ちゃんは低学年プール側、俺は高学年・一般開放側の監視、でいいか?」
「はい!」
「じゃあ、AEDと拡声器は俺が持っていく。藤田ちゃんはタオルと貸出用品一式を頼む。俺が先に行って鍵開ける準備してるから」
そう言って、さっさと職員室を出て行ってしまった。やっぱり素っ気なくされているのは気のせいではない、らしい。
でも、それと仕事は別なので、私も慌てて準備をして後を追う。
森が丘小学校は、プールだけは新しい。
五年前に改築されて以来、夏休み中に限り、一般市民にも開放されている。
それで、朝九時から正午まで、午後一時から午後五時までの一般開放時間に合わせて、常に二人体制で監視にあたる。
今日が六学年の監視当番の日、ということで、私と甲賀先生は、お昼の休憩以外ずっとプールにいなくてはならない。
しかも、プールを挟んでお互いに離れた場所から監視するので、監視台の上でじっとプールを見つめるという、孤独な時間を過ごすことになる。