恋したメアリ
恋したメアリ

プロローグ

「ずっと好きだった、小諸(こもろ)くんのこと」



クラスメートの浅川(あさかわ)芽有(めあり)に告白されたとき、
俺は大声で「俺も」と叫びそうになった。


放課後の教室だった。

赤い夕日が町と山の稜線に霞んでいくのが、窓いっぱいに見えた。

俺は教壇の前に、浅川は少し離れて教室の中ほど、机と机の間に立っていた。



「ずっと……っていつから?」


俺は叫びを飲み込んだ。落ち着こうと息を吐く。

浅川芽有は夕焼けとは別に頬を染め、小柄な身体をそれでもしゃんと伸ばし、俺を見つめている。


「中一。だからもう二年ちょっと。キモいよね、そんなに長い間、黙って見てたなんて」


「キモくない」


「うそ」


「嘘じゃない。……俺も浅川のこと見てた。
好きだったから」



浅川が顔中を赤くして俯いた。

俺は震える手をぎゅっと拳の形に握る。

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