恋したメアリ
メアリは蒼白といってもいいほど白い顔をしていた。

もう寒い時期なのに白いキャミソールワンピースを纏っているだけだ。


「何をしているの?」


俺は言葉を失い、じりと一歩階段を下がった。

メアリの栗色の瞳は冷酷に光っている。


一瞬で、この世の者ではないと思った。

恐怖が背中を這い寄る。
きっと俺も消されてしまうのだ。

もしかすると、浅川もこいつが?


しかし、メアリは眉をぎゅっと寄せ、素早く俺の隣にしゃがみこみ耳打ちした。


「とにかく、ここはまずい。こっちへ」


おそらくは彼女の私室と思われる部屋へ、俺たちは急ぎ滑り込んだ。

間をおかず、廊下を歩くせわしない足音が近づいてきた。

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