恋したメアリ
メアリは大きな瞳を細め、囁いた。


「きみって仕方のないやつだね。
ともかく今日はここまでだ。……明日の夜、もう少し早い時間にまたおいで」


俺は意味がわからず、答えなかった。


「大丈夫、明日は父がいない。学会で北海道なのさ」


父……。

すると、さっきの狂人のごとき男がメアリの父ということだろうか?

そして浅川の?

いや、メアリはあの男をドクターと呼んだ。


不審で押し黙る俺に、メアリは困り顔で笑いかけた。


「こうなったら仕方ない。明日、きみの芽有に会わせてあげる。
きみとはそういう縁なんだろう。全部、話すよ」
< 18 / 33 >

この作品をシェア

pagetop