恋したメアリ
「あの塊が浅川芽有の本体。
きみの芽有は生命活動を終えた。肉体は再び吸収される」


メアリは俺の希望を粉砕する事実をさらりと告げた。


「なんで……こんな」


「十一番目は長命だよ。二年十ヶ月は最長記録。
そもそも私たち奇形種が、一瞬でも生きて人格を持ったこと自体が奇跡だ。本体はあの通り肉の塊が人工呼吸器をつけてどうにか生きてるだけ。
抜け殻を再吸収し、未練がましく人形を産みながら。きっと人格すらない」


「こんなのおかしい……」


「私もそう思う。不自然に生かされた生命を不自然に繋いでいく愚行。
だけど、浅川博士を見ただろう?
もう、まともとは言い難くてね。

彼はまだ信じてる。あの肉塊がいつか綺麗な人型になり、自分の娘として覚醒してくれるのを。
そのために、私たち奇形種の人形を使って生きた記憶を取り込ませ続けている。浅ましいけど、馬鹿らしいけど、誰も止められない」

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