恋したメアリ
眠い頭を抱え学校に行くのは辛かった。

ゆうべの出来事が夢か幻にも思われるほど、世界は明るい。



教室でメアリの到着を待った。

彼氏らしく堂々と朝の挨拶でもしてやろう。


しかし、メアリは学校にこなかった。


その日だけではない。

それから浅川芽有は学校に来なくなり、ふた月ほど経った頃、
病気療養で転校したという情報が流れた。

俺は自宅を訪れたが、相変わらずチャイムの切れた洋館に応対してくれる者はなく、
やがて洋館には売却を知らせる不動産会社の貼り紙が取り付けられた。


最後の手がかりもなくなり、俺は浅川芽有を完全に見失った。



< 30 / 33 >

この作品をシェア

pagetop