恋したメアリ
「十二番目は短命だった。
タイミングも悪く、培養していたストックがことごとく死滅してね。
大急ぎで作って、ようやく社会生活が送れる個体ができたんだけど、まあこんなにちっちゃくてさ。
大変だよ、小学生をやり直すのも」


「メアリ……か?」


俺の声はかすれていて、泣き出しそうに響いた。

少女は帽子の下の栗色の瞳を笑みのかたちに眇めた。


「お、それは十二番目の呼び方だね。
それはいいな、私は十二番目の思考を強く継いでいるみたいなんだ」


見覚えのある面立ちと幼い瞳で彼女は俺を見上げる。

懐かしく眩しく愛しい空気で。



「小諸くん、久しぶり」



俺は頷いて、彼女の丸い瞳をじっと覗き込んだ。





<了>



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