ヒトノモノ

彼女の名前は坂崎摩耶。




幼い頃にお互いの両親が再婚して蓮と兄妹になった。 小さい頃からかなりのブラコンでことごとく兄の恋愛の邪魔をしてきたらしい。




しかし今度の相手はいつもと違い兄の本気が伺えた為、自分の目でその女を見極めたいがために強引についてきたとのこと。




私は話す彼女を見て思った。ブラコンはあくまでも建前で彼女は本気で蓮を好きなんだと。切ない女心を見せられた私は同じ男を好きな女として胸が痛くなった。





"あなたを認めたわけじゃないから"
その一言を残して彼女は部屋から立ち去った。





彼女は本気で蓮を愛していて蓮の隣で一生幸せになりたいと思ってるはず。彼女の純粋な気持ちが大きすぎて私は彼女ほど蓮を愛せるか不安になる。




うつ向き黙ったままの私の髪に蓮の手がスッと差し込まれる。顎をクイっと上げられたかと思ったらすぐさま唇が塞がれた。




初めは貪るように。次第に優しく味わうようなキスに変わる。




しかし流されてはいけないともう1人の私が言っている。まだ蓮に聞きたい事は山ほどあるのだ。





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