恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
不器用で強引な優しさと、クールな表情。たまに見せる無防備な柔らかい微笑み。
好きなところを挙げればキリがないし、もちろん全部が好きだけど。
和泉くんの存在がもう私の中ではかけがえのないモノで、和泉くんのどこが好きってわけじゃなくて和泉くんが好きだと感じてる。
和泉くんがくれる、全部が嬉しい。
過去の和泉くんへの想いを大きく超えるくらいの気持ちで、今の彼に恋に堕ちてる。
自分の気持ちを確認しながら作ったオムレツをお皿に乗せて、その端にレタスとプチトマト、ハムを添えたところで、シャワーを済ませた和泉くんがお風呂から出てきた。
いつもだったら夜入るけど、昨日はそのまま寝ちゃったから。
濡れた髪のままTシャツ姿で出てきた和泉くんが、肩にかけたタオルで髪をガシガシ拭きながらキッチンに入ってきて、冷蔵庫から取り出したミネラルウォーターを飲む。
その姿に思わず見とれてドキドキしていると、そんな私の視線に気づいたのか、和泉くんの視線がこちらに向けられた。
「あ、えっと、ご飯できるよ。オムレツ、ケチャップかけちゃっても平気?」
「ああ」
「牛乳? コーヒー?」
牛乳と答えた和泉くんが、キッチンから出てダイニングテーブルに座る。