恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
「昨日の事、和泉くんにとっては大した事じゃないのかもしれないし、誰でもよかったのかもしれないけど、それはいいの。
だけど、私は――」
和泉くんだったから。
続く言葉が言えなかったのは、和泉くんが私を抱き締めたからだった。
苦しいほどきつく抱き締める和泉くんに戸惑っていると、しばらくそうした後、和泉くんが腕を緩める。
離れて見えた和泉くんは、とても切なそうな顔で私を見つめていた。
なんで……そんな顔するの?
「和泉く……」
「好きだ」
つらそうに歪んだ顔の理由を聞こうとした私の声に重なるようにして聞こえた、和泉くんの告白。
あまりに唐突すぎる言葉が信じられずにただ黙っていると、近づいた和泉くんにキスをされて。
そのままソファに押し倒された。