恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


「でも、ずっと莉子の事は頭にあった。
日本に帰ってきてもし会う事ができたら言おうって考えてたんだ。
――そして会えた」
「和泉くん、私……っ」
「会って話してみて、やっぱり莉子の隣にいたいって思った。
危なっかしい莉子を、俺が傍で支えてやりたい」
「和泉く……」
「絶対に後悔させないから。俺をもう一度好きになって欲しい」

自然に近づいた和泉くんが、そのまま唇に触れるだけのキスをしてくるから、びくっと身体がすくんでしまう。

「ここ、日本……っ」
「え、ああ、ごめん。つい海外の癖が抜けなくて」

そう謝った和泉くんだけど、顔にはいたずらな笑みを浮かべていて。
高校の時、ちょっとしたいたずらをしてはこんな笑顔を浮かべてて、その笑顔が大好きだった事を思い出した。

高校の時からずっと好きだった王子様が今目の前にいる。
和泉くんと話せば話すほど、笑顔を見れば見るほど、そんな思いが蘇ってきた。

本当に和泉くんなんだ。
当たり前だけど、今更そんな事を実感して……和泉くんの笑顔から目が離せなかった。



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