恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―
朝ごはんに食パンを食べる和泉くんと向かい合って、私も同じようにパンを食べながら、今日買ってくるから大丈夫と答えた。
本当に買い物に行くつもりだったし、お米も買ってくるつもりだったから。
だから安心して、なんて言った私に、和泉くんは少し黙って私を見た後。
俺も行くと言った。
何か買い物?と聞いたけれど、何も答えてくれなくて。
結局、10時に部屋を出て、和泉くんに言われるまま車の助手席に座って、今に至る。
右隣りにチラっと視線を移すと、ハンドルを握る和泉くんの姿があって。
まるでデートみたいに思えてしまって、ドキドキする。
「いつも行ってるスーパーは?」
「マンションを右に出て、少し歩いたところを左に曲がった所なんだけど……。
あ、ほら、再会した時、公園に入ったでしょ? あのすぐ近く」
私のへたくそな説明でもどのお店か分かったらしく、和泉くんは、ああ、あそこかと呟く。
「あまり品数ないだろ」
「あーうん。大きくないから仕方ないけどね。でも高くはないし、一番近いし便利だから。
……ところで、どこに向かってるの?」