恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―


ダメだな、私。
早とちりしたり勘違いして期待したりする癖が、何度注意されても直らない。

久しぶりの再会に、また懲りずに微量の期待を寄せてしまっていた自分に気づいて反省する。

夜の公園は人気がなく、静かだった。
何時だろうと時計を探したけれど見つからなかったから、ポケットから携帯を取り出して確認すると、21時前で思っていたより遅い時間に驚く。

本当にそろそろ今晩どうするか決めないとマズイかもしれない。

そう思って携帯をしまおうとした私を、和泉くんが止める。

「番号教えておく」
「え、あ……ありがとう。じゃあ私のも」

赤外線で送信してもらった番号がきちんと登録されたかを確認すると、電話帳に和泉と入っていて嬉しくなる。

言葉通り路頭に迷っている時にこんな些細な事で喜んでいる場合じゃないのは十分分かっているつもりだったけれど、嬉しいものは嬉しかった。



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