人知れず、夜泣き。
 
 「パンとかいっぱい買って来たから、木内さんも適当に食って。 腹減ったっしょ??」

 橘さんは、他にもおにぎりやお菓子の入ったコンビニ袋を無造作に置いて、パンを齧りながらまた棚卸しをし始めた。

 ・・・ワタシの分、1000円くらいかな。

 財布から1000円札を取り出し、

 「あの、買って来てくれてありがとうございます。 これ、ワタシの分です。 足りますか??」

 橘さんに差し出すが、彼は受け取ろうとしない。

 「・・・足りませんか??」

 このひと、どれ程買ってきたんだろう。

 「律儀っつーか、真面目っつーか、貧乏臭いってゆーか」

 『いらねーし』とワタシを馬鹿にした様にに笑うと、橘さんは1000円札をワタシに押し戻した。
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