人知れず、夜泣き。
「ねぇ、オレがそのお粥食うから、木内さんはコンビニのお粥食べなよ」
やっぱり木内が手を加えたお粥は違う。
オレの闇粥が見事に化けている。 超美味そう。
「ダメだよ。 ワタシの食べ刺しを作り直したんだから風邪移る」
木内にそう言われても、どうしても食いたい。
「ヤダ。 食いたい食いたい食いたい!!」
「橘くんが風邪引いたら作ってあげるよ」
オレが子どもみたいに騒ごうとも、木内はお粥を食わせてくれない。
だからって、『じゃあ、木内さんの風邪、ちょうだいよ』的な少女漫画に出てきそうなキスは出来ない。
余計な事をして今の関係が崩れるなら、今のままでいい。
だから、木内の元カレが調子良く戻ってくる事なんか、赦さない。