人知れず、夜泣き。
「では、早速指輪を選びましょう。 どんなデザインが良ろしいでしょうか?? 彼女さんのお好きなブランドはどちらのものになりますでしょうか??」
悟を指輪のショーケースに誘導する。
まさか、悟の彼女の為に悟と指輪を選ぶ日が来るなんて、夢にも思わなかった。
「桜は、どれが好き??」
ワタシの質問を質問で返す悟。
悟の無神経さに腹が立った。
この世に元カノの趣味の指輪が欲しい女など、いるわけがない。
「人気のあるものはこちらですね」
イラっとしつつも、とりあえず20代のお客様によく売れてる指輪を見せる。
「これ、桜も好き??」
悟の無神経発言は続く。
いくらお客様と言えども、悟の質問にイライラする。
「そうですね。 かわいいと思いますよ」
でも笑顔は崩さない。
だって、これもシゴトだ。