人知れず、夜泣き。
「じゃあ、これで」
婚約指輪なのに、深く考えることもせずにアッサリ決めてしまった悟。
悟が購入する指輪は、1番高いヤツとはいかないけれど、それでも高価なものだった。
悟は、彼女の為なら大きな買い物も躊躇しないらしい。
「指輪のサイズは何号でしょうか??」
パソコンを見ながら在庫をチェックする。 在庫さえあれば当日お渡しが出来る。 悟の事だから、刻印とかを入れると日にちがかかるなんて事は知らないだろう。
「・・・桜は何号??」
悟の質問に、思わず『はぁ?!』と言ってしまいそうになり、慌てて声は引っ込めたものの、口はあんぐり開いてしまった。
本当に、ばかなんじゃないかと思った。
ワタシと悟の彼女のサイズが同じなはずがない。
「ワタシと彼女さんのサイズが同じとは限りませんので・・・」
もう、精いっぱいの作り笑顔も引き攣ってしまう。
「桜は何号??」
それでも悟はバカ質問をし続ける。
悟は、女性の指の太さが全員同じだと思っているのだろうか。
「・・・ワタシは、8号ですが・・・」
どうして良いのか分からず、自分のサイズを応えると、
「じゃあ、8号で」
悟が、ワタシと同じサイズの指輪を買うと言い出した。
悟は、女性の指の太さが全員同じだと思っているらしい。