人知れず、夜泣き。
「・・・・・・え??」
驚いて木内の方を見ると、木内がまた『へへッ』と苦笑いした。
「・・・指輪貰って、泣いてたじゃん」
泣くほど喜んでたじゃん、木内。
「・・・・・・だって嬉しくなかったんだもん。 あんなに欲しくて仕方なかったものなのに、嬉しくなかったんだもん。 でも、嬉しくなかったくせに『本当に受け取らなくて後悔しないだろうか』って不安になっちゃったんだもん。 この歳だしさ」
『そりゃ、涙だって出るさ』と、笑う木内。
イヤイヤイヤイヤ。 何を軽く開き直ってんだよ、木内。
オレのこの底辺にまで下がったテンションをどうしてくれんだよ。