人知れず、夜泣き。
だったらオレもリアルをぶっ込むか。
「ねぇ、木内さん。 なんでアイツの指輪、返品しちゃったの?? 一応貰って売るか捨てるかすれば良かったじゃん」
「橘くん、鬼なの??」
「だって、今日まだ木内さん、売り上げゼロじゃん」
リアルに切実な問題で木内をイジると、
「言うな言うな!!」
さっきまでリアルを投げ込んでいた木内が、両耳を押さえながら現実逃避を図った。
そんな木内の両手を耳から剥がす。
「ハイハイ。 これ以上言うと、またひとり寂しく夜泣きしちゃうからねー、木内さんは」
「しつこいな!! もうしないわ。 これからは、これ見よがしに橘くんの前で号泣してやるわ」
「可愛げねぇぞ、桜。 大好きだ」
もう、ひとりぼっちで泣かせない。
人知れず、夜泣き。
おしまい。