人知れず、夜泣き。

 「はぁぁああああ!??」

 桜が、怒った様な、呆れた様な、でもちょっと笑ってしまっていた。

 「オレは寛容に目を瞑るよ?? 桜が元カレの番号消してなかった事。 でも桜は目くじら立てるの?? オレが佐藤さんとうっかり1回だけ腕組んだ事」

 桜が笑ってしまったことに即けこみ、開き直って見せる。

 「腕ってうっかり組むかなぁ??」

 全然納得のいっていない桜。

 まぁ、納得などいくわけがない。

 オレとしては、納得云々より、仲直りがしたい。

 桜と別れる気などサラサラない。 

 だって、来年結婚する気だし。

 「まじケアレスミス。 人間って時に超簡単な問題、間違っちゃう事もあるよねー、桜さん」

 「ないわ。 同意を求めるな。 ばか」

 桜がうっかり怪我している方の手で、枕をオレの方に投げては、激しく痛がった。

 それをケアレスミスと言うのだよ、桜さん。

 馬鹿はオマエじゃ。
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