人知れず、夜泣き。
翌日、久々に出勤すると、
「おはよー、桜。 怪我はもう平気??」
だいぶお腹の大きくなった百花が笑顔で寄ってきた。
「おはよー。 もう全然平気だよ」
「ワタシが産休に入る前に桜が帰って来れて良かったー。 桜の入院中、橘くんに変な女が寄り付かない様にしっかり見張ってってやったからね!! 退院後は自分でパトロールしなさいよ!!」
百花が『パシン』とワタシの背中を叩いた。
・・・見張り番、頼んでないですよね??
百花が自らノリノリでやってただけじゃないっスか。
百花は、入院中に毎日修くんの事を報告してくれていた。
『秘書が橘くんに妙に馴れ馴れしいから邪魔してやった』『秘書のスカートが異常に短い』等々、小姑の様なLINEメッセージが何通も送られてきていた。
百花のメッセージを見て、修くんと美人秘書の関係に嫉妬しながらも、百花が陰で目を光らせている光景を想像するとちょっと面白かった。