人知れず、夜泣き。
タクシーを降り、店へと引き返す。
「あの女、あっちに向かってったよな??」
木内が走って行った方向に足を進める。
暫く辺りを探していると、コンビ二から出てくる木内が見えた。
袋から買ったばかりのチューハイを出すと、勢い良く飲み出す木内。
そして、それを持ったまま歩き出した。
・・・おっさんか、あの女。
「木う・・・」
呼び止めようとした時、突然木内が立ち止まった。
『ぐす』っと鼻を啜る音がした。
『ひっく、ひっく』木内が泣いている様だった。
声を掛ける事が出来なかった。
きっと彼女は、1人になって泣きたかったんだと思うから。
彼女に、何があったのだろう。