人知れず、夜泣き。



 ------家に帰り、なんとか風呂には入って出勤。

 死ぬほど眠い。 それもこれも全部木内のせいだ。

 『瞼の目ん玉の絵でも書いて寝てやろうかな』というアホな考えが過ぎる程の眠気と戦っていると、 

 「おはようございまーす」

 木内が出勤して来た。 木内も早番だったのか・・・。

 「おは・・・どうしたの?? 目、腫れてるよ??」

 木内と仲良しの妊婦、野沢さんが木内に近づき、木内の顔を見て驚いていた。

 まぁ、あんだけ泣けば腫れるのは当然だろう。

 「昨日映画見て・・・イヤ。 悟と別れようかと・・・」

 木内は一瞬嘘を吐こうとしたが、バレバレにも程があると自分で気付いたのだろう。 本当の事を口にした。

 「・・・なんで??」

 「・・・他に、好きな人がいるみたいだから」

 『まぁ、仕方ないよね』痛々しく笑う木内に、野沢さんもまた苦笑いを返した。

 木内の事は、可哀想だなとは思うけど、昨日の仕打ちを思い出すと、同情しようとも思えない。

 どうでもいいけど、眠すぎるわい!!
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