人知れず、夜泣き。



 遅番チームが出勤して来て、手の空いた早番のヤツらが順番に昼休憩に入る。

 オレは木内に5分遅れて休憩に入った。

 ・・・エナジードリンク代、返すか。

 休憩室に行ってみるも、木内は居なかった。

 ・・・めんどくせぇな。 どこ行ったよ、アイツ。

 屋上か??

 エレベーターで最上階まで行き、階段を上って屋上へ。

 屋上のドアを開けると、木内がベンチに座り、1人で弁当を食っていた。

 「木内さん」

 名前を呼ぶと、木内が箸を止めてオレの方を見た。

 「橘さん?? どうしたんですか??」

 「エナジードリンク代、返しにきた」

 財布から1000円札を引き抜き、木内に渡す。

 「あ、お釣り・・・細かいの、あったかな??」

 木内はオレの1000円を受け取らず、弁当箱をベンチに置くと、自分の財布を取り出し、小銭を確認し始めた。

 どこまでもケチくさい女。
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