人知れず、夜泣き。

 「お釣りとかいらねぇから。 じゃあ」

 風で飛ばないように、弁当箱の下に1000円札を挟み込みその場を去ろうとすると、

 「あれ、1000円もしないです」

 貧乏女がオレを呼び止めた。

 -----しつこい。

 「昨日、結局木内さんお茶しか飲んでないですよね?? あのお茶、1000円もしないんで」

 「あ・・・そっか。 わざわざありがとうございました」

 やっと受け取る気になった木内が、弁当箱の下に挟まっている1000円を財布にしまった。

 ・・・にしても、木内の弁当、美味そう。
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