人知れず、夜泣き。



 -----ぐうぅぅう。

 まだ昼メシ食ってないし、なんなら朝メシも食う時間なかったしで、空腹のあまり物凄いデカイ音で腹が鳴ってしまった。

 「・・・・・・」

 そんなオレに、木内の大人な対処。 無言で聞こえないフリをしている。

 「・・・つーか、『良かったらどうぞ』とか言っておかず一口くれたりしません??」

 何、自分の弁当死守しようとしてんだ、木内。 可愛げねぇな、差し出せよ、その弁当。

 「・・・イヤ。 どうせ自分しか食べないお弁当だから、かなり適当なんですよ。 人様に食べさせられる様な代物じゃないないんですよ」

 急に恥ずかしがって、弁当を蓋で隠そうとする木内。

 なんだコイツ。 可愛いとこあんじゃん。

 つーか、隠さなくても上手に出来てんじゃん。

 「その卵焼きちょうだい」

 蓋の隙間から見える、ウインナーの隣に並んでいた卵焼きを指差す。

 木内の卵焼きは、焦げ目のないタイプの綺麗な黄色をしていた。

 「・・・ワタシの卵焼き、甘くないですよ??」

 「ふーん。 木内家は塩味なんだ??」

 「塩も入れてないです。 白だしとマヨネーズです」

 「マヨネーズ??」

 何それ。 ますます食いたい。

 「マヨネーズを入れるとふわっとするんで・・・あ」

 木内がごちゃごちゃうるさいので、勝手に食ってやった。
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